PROJECT STORY 01電力プラントプロジェクト
台湾( トンシャオ )

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台湾の電力事情を改善通霄ガスタービン・コンバインドサイクル発電プロジェクト

現在、台湾では、国策として脱原発に向けた動きが推進されている一方、電力の安定供給を不安視する声も高まっている。
このような状況の中、新たな電力源として期待を寄せられているのが、通霄(トンシャオ)に建設中のガスタービン・コンバインドサイクル発電(※)プラントであり、三菱商事マシナリは、同プラントの完工に向けた履行業務にも多大な貢献を果たしている。

(※)ガスタービン・コンバインドサイクル発電とは:
ガスタービンでの発電に加え、その排熱を再利用することにより蒸気タービンでも
発電を行うため、非常に高効率かつクリーンな発電の仕組み。
略して「GTCC発電」とも呼ばれる。

台湾の電力事情を救う
最新鋭のガスタービン・コンバインド
サイクル発電プラント

三菱商事が当プロジェクトを台湾電力公司から落札したのは2013年9月。その後、2014年2月に、当社が本案件に関わる受渡業務を引き継ぎました。この発電所は、最新鋭のガスタービン・コンバインドサイクル発電設備を3系列備えた、出力総計260万kW級という規模の大きい発電プラントになります。その完工に向け、当社社員も関与して履行業務を進めています。
台湾に設立されたプロジェクト事務所では、三菱商事のプロジェクトマネージャーの立場で履行業務全般に携わる陣頭指揮を当社社員が行っています。また、日本国内でも、官辺手続、税関対応、台湾における税務申告、更に船積、請求、収支/計上等の業務に対応しています。

膨大な機材の輸出入に関わる
多岐にわたる業務の数々

発電プラントの建設地となる通霄(トンシャオ)は、台湾本島の中西部、台北市の南西約150kmに位置しています。一方、発電設備や機器の多くは日本国内のメーカーから出荷されるため、輸出入に関わる膨大な数の業務が発生します。機材を輸出するメーカー各社との船積要領の確認、それに基づいた船積書類の作成、管轄税関への説明会といった業務を次々と遂行していかなければなりません。その他、現地法人税の申告、マイルストーン(各作業工程の節目)達成時の品代請求、入金/支払等の経理処理も当社に課せられた任務となります。加えて、現地で働く日本人、第三国から派遣・雇用される人々の労働許可証(ワークパーミット)やVISAの取得、生活に必要な諸手配・管理(給与、アパート、通信、生活関連)、支払業務等も並行して進めていく必要もあります。
発電プラントのような大規模施設を建設するには、膨大な数の機材・人材が必要となり、それに伴って、行政や輸出入許認可に関わる書類の作成、税務処理、関係者との協議等も発生します。これらの業務を確実かつ速やかに処理し、プロジェクトが円滑に進むように管理・運営していくことが、当社に課せられた重要な任務です。

台風、地震をはじめとした
絶え間ないトラブルとの闘い

長期にわたる建設プロジェクトでは、履行中にも様々な問題が突発的に発生します。台風、地震等のトラブルが発生するたびに、顧客への通知、納期延長の申請、更には現場関係者の安否確認・状況確認といった対応が求められます。台湾は台風の多い国であり、特に夏場は、その対応に毎月のように追われることもあります。2016年2月には、台湾南部でM6.6の地震が発生し、ニュースでも台湾各地の被害が続々と報道されました。幸いにも本発電プラントに大きな被害はなく、無事に工事が再開されています。
また、2017年の夏には、台湾全土で電力不足が懸念される状況が発生し、建設中であるにも関わらず、「通霄のユニットも給電を始めてほしい」との要請が舞い込みました。この要請に対応すべく、急遽、契約アメンド(契約の修正・訂正)を締結し、給電対応を行ったという経緯もあります。これについて当時の担当者は、「当社が台湾という国に寄与できたという印象が心に残っている」と語っています。

互いの立場を理解した信頼関係が
プロジェクトを円滑に進める

発電所の建設は、顧客、メーカー、コンソーシアムパートナー、下請会社といった数多くの企業が関与する大型プロジェクトになります。もちろん、それぞれ立場や考え方は異なりますし、いずれも「自社の利益を優先したい」と考えるのは当然です。
その結果、意見が食い違ったり、想像もしていなかった問題が発生したりするケースも少なくありません。
こういった問題に対処していくには、「お互いの信頼関係を築いていくこと」、そして「相手の立場を理解し、思いやりの気持ちを持つこと」が重要な鍵となります。信頼関係を構築できれば、牽制することなく、率直に話し合えるようになります。正直な意見を聞くことで、互いにWin-Winとなる“最善の対応策”を見出すことも可能となります。プロジェクトを円滑に進めるにあたって、技術的な知識、各国の法律に関する知識は欠かせないものですが、それ以上にコミュニケーション能力が問われます。
大型プロジェクトで「商社が必要とされる理由」は、こうしたところにこそあるのです。